薬とりわけオピオイドを処方する場合、医師は十分な鎮痛効果を得るためにオピオイドの用量を増量するべきかどうかの決定にしばしば悩む。
そのためには投与量の増量が疼痛強度に与える影響を理解しておくことが必要であり、以下の論文は興味深いデータを報告している。
Impact of opioid dose escalation on pain intensity: a retrospective cohort study
Corey J. Hayes, Erin E. Krebs, Teresa Hudson, Joshua Brown, Chenghui Li, Bradley C. Martin
Medicine - Veteran's Administration Medical Center
レトロスペクティブコホート研究のデザインを用いて、慢性疼痛を有し、慢性的にオピオイド治療を受けている退役軍人を同定した。オピオイドの用量増量者(1日平均モルヒネミリグラム当量の20%以上の増加)と用量維持者(1日平均モルヒネミリグラム当量の±20%の変化)を2回連続した6ヵ月間にわたって比較した。
疼痛強度は数値評価尺度(Numeric Rating Scale)で測定した。
一次解析は、容量増量者と維持者を、傾向スコアと指標日から±180日以内にマッチさせた1:1のマッチングサンプルで行った。
感度解析は、治療の重み付けの安定化された逆確率を組み込んだ場合と組み込んでいない場合について検討を行った。用量維持者は32,420人、増量者は20,767人で、19,358人(93%)のマッチングするペアが確認された。疼痛スコアは、指標日から90日後の各期間において、用量漸増者の方が持続的に高かった(指標日から0-90日後:用量漸増者。4.68、95%信頼区間[CI]:4.64-4.72用量維持者。4.32、95%信頼区間[CI]:4.28-4.36、P<0.0001;インデックス日後91-180日目:用量増量者。4.53、95%CI:4.49-4.57;用量維持者。4.25、95%CI:4.22~4.29、P<0.0001)であったが、指標日前90日では差がなかった(用量エスカレーター。4.64、95%CI:4.61-4.68;用量維持者。4.59、95%CI:4.55-4.63、p=0.0551)。)
感度解析では、一次解析と同様の結果が得られた。
慢性疼痛患者におけるオピオイドの用量増量は疼痛スコアの改善とは関連していない事がわかった。
Hayes, Corey J.; Krebs, Erin E.; Hudson, Teresa; More
PAIN. 161(5):979-988, May 2020.