CM関節症への脱神経的アプローチ

2021年7月11日日曜日

 

CM関節症に苛まされる人は多い、特に婦人に多くみられる疾患である。

簡易には装具を用いた治療がしばしば行われるが、調理などの水仕事などもしないといけない事から装具などの治療もどうしても使ってくれない方も多く、満足度は必ずしも高くない。

手術療法はこれまで色々なものが開発されているが、その成績については様々である事や病態が原則として荷重関節でない事や使わなければ治まったりすることから、普及はしていない。

その為、その時々に鎮痛薬や注射などの取り敢えずの治療が行われているのがCM関節症で多く見られる状態となっている。

これに対してここ数年にいくつかの論文が異なるグループから報告されている。https://scholar.google.com/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_ylo=2017&q=carpometacarpal+innervation&oq=carpometacarpal+inner

Journal of Hand Surgery AM(2019 Vol 44, p64e1:Sami H. Tuffahaら)に出された論文では、CMC関節の選択的除神経は、CMC関節炎に伴う疼痛を治療し、障害を緩和するための有効なアプローチであること。そしてこの手術は忍容性が高く、trapeziectomyと比較して回復が早いのが特徴であること。が紹介されている。その際外側前腕皮神経、正中神経手掌皮枝、橈骨感覚神経から発生する枝を特定し、単一切開のワグナーアプローチで切除することができることが記されています。

Hand Surgery and Rehabilitation(Vol 36, 3, 2017, Pages 192-Giesenら)は

親指の手根骨(CMC1)関節に原発性変形性関節症を患った患者30名の親指31本を対象に、患部の関節の除神経を行った前向き研究の結果を報告しています。手術を受けたすべての手について,Kapandjiスコア,キーピンチ力,握力,視覚的アナログスケールによる痛みを,術前と術後の2週間,6週間,3ヵ月,6ヵ月,1年後に評価し、患者の満足度を判定しています。Kapandjiスコアとkey-pinch strengthは,すべての患者で有意に改善し、握力は10人の手で有意に改善し、痛みはすべての症例で減少したとあります。ただ、それにもかかわらず,6人の患者が手術に不満を持っていた。この6名のうち、4名は親指のTMCと肩甲骨の関節にステージIVの関節炎を患っていた。親指CMCの除神経は、1年後には痛みを軽減し、キー・ピンチの強さも全体的に改善するようである。しかし、ステージIVのCMC関節炎を持つ患者は、この手術の結果に満足していなかった。纏めています。

今後、色々な方法でこのような治療法を改良し、より低侵襲な方法を模索していく事は大変重要になってくるかと考えられます。



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