C2MとC3M

2020年5月29日金曜日

痛み基礎よみ記 臨床研究学習帳

強直性脊椎炎(AS)などのリウマチ性疾患では、炎症の評価は重要であり、現実的には結合組織のターンオーバーの評価は診療上有用と考えられる。しかし、これらの組織関連疾患に適用される疾患予後や介入の有効性を測定するためのバイオマーカーはほとんどない。
II型コラーゲンは、軟骨の主要な構造タンパク質であり、結合組織のIII型コラーゲンは、組織の炎症の間に増加事が知られている。そこでこれらの代謝物を評価することができれば臨床的に大いに意味が出てくることになる。
Bay-JensenらはRAおよびASにおけるターンオーバーバイオマーカー(軟骨:C2M、滑膜:C3M)の診断および予後の有用性を調査した研究を報告している。
対象はAS患者(n = 103)、RA患者(n = 47)、健常対照者(n = 56)から血清サンプルを採取した。AS進行者は、2年間に新たな椎体性症候群を有するか、またはmSASSSが3単位以上変化したものと定義した。
血清中のII型コラーゲン分解マーカーはELISA法でC2M を、III型コラーゲン分解は同じくELISA法でC3M を測定した。
ロジスティック回帰および二分化決定木を用いて,これらのマーカーの個別または組み合わせの予後を解析した.
RA患者ではC2MとC3Mのレベルは両者とも健常対照者よりも有意に高かった(p<0.0001)。診断有用性をROCで解析したところ、C2MとC3Mの曲線下面積(AUC)はそれぞれ72%と89%であった。
AS患者でもC2MおよびC3Mはいずれも健常対照群に比べて有意に高値を示した(p<0.0001)。C2MおよびC3MのAUCは、それぞれASで70%および81%であった。
C2MとC3Mを組み合わせて、個々のマーカーのベストカットオフに応じて二分化することで、進行者の80%、非進行者の61%を正確に識別することができた。このことから軟骨および結合組織の分解の特異的バイオマーカーC2M、C3Mを用いることでRAおよびASの診断と進行予測の両方を容易にすることができることが示された。(PLoS One. 2013; 8(1): e54504.



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