ボディイメージを考える(1)

2020年6月5日金曜日

複合性局所疼痛症候群以下CRPSにおいてはNeglect Like Symptomがしばしばみられる。Galerら(J Pain Symptom Manage. 1999 Sep;18(3):213-7.)
痛いことをされると怖い、動かすと痛いので安静にしていたいというFear Avoidance思考が出るのは人として当然である。ただ、動かさないとどうなるのかということは大変重要なところであり、Butlerらは足の骨折後にギプスなどをすると患肢の温度変化、ネグレクト様症状と使いにくさ、感覚閾値変化が起こることを報告している。これに関しては健常者でもギプスを装着して手や腕を数週間固定すると、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で測定した体性感覚野(SI)における各指の表象の活性化が低下し、手の使用が有意に減少し、触覚が低下したことを報告されている(Current Biology Volume 19, Issue 10, 26 May 2009, Pages 837-842)。動物実験でもラットにギプス固定をすると患肢は全く使わなくなるがその際脊髄後角にグリア細胞の活性化が出現したり後角細胞の反応性が変わること(Journal of Orthopaedic Science Volume 6, Issue 1, January 2001, Pages 46-52)、Cfosなどが出現することがわかっている。

また、脳のS1やMotor Cortexの分布変化が起こることが報告されている(He X, Dishman V. Spinal motor neuronal degeneration after knee joint immobilization in the guinea pig. J Manipulative Physiol Ther. 2010;33(5):328-37.)。

これらの変化は比較的短時間から始まるものであり、電気生理学的にTaniguchiらは数時間安静にして腕を使わないでいるとF波が低下することを報告している(Clinical Neurophysiology
Volume 119, Issue 6, June 2008, Pages 1346-1352)が、長期になるとこれらのメカニズムがどのように変容していくのかというメカニズムについては今後も考えていく必要はある。
また、並行して引き起こされることは関節、筋組織そのものの生物学的な変化である。すなわちギプス固定などはタイプ1線維を中心とした萎縮を引き起こすがそれだけでなく筋周膜の肥厚(長期化すると近内幕の肥厚)なども生じる(. 1984 Mar; 138(Pt 2): 343–350.)ため物理的にも動きにくい状況も生じる。


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