CRPSや線維筋痛症の身体症状と感覚変化などにおける研究

2020年5月21日木曜日

複合性局所疼痛症候群(CRPS)では原因となったイベントで引き起こされるとは考えがたいような強い痛みだけでなく多彩な症状を呈してくることが有る。線維筋痛症(FM)では血液検査などでも一般的な画像撮影でも異常がみられないのにも関わらず強い痛みを生じ患者をくるしめている。
実際、診断基準の症状に加えて、患者は視覚などの感覚や身体機能の変化を訴えることがある。これらの症状が、通常の加齢によるものなのか、一般的に慢性疼痛を抱えて生活していることによるものなのか、あるいはうつ病や不安などの慢性疼痛の共通の併存疾患によるものなのかは不明である。
今回PAINにCRPSとFMにおける身体変化と感覚過敏症に関する調査の論文が報告された。

CRPS(n = 390)、FM(n = 425)、およびCRPSとFMの両方(「CRPS+FM」、n = 88)の回答者を対象に、他の慢性疼痛状態の回答者(n = 331)および無痛の対照者(n = 441)と比較して、自己申告による体性症状、身体変化、感覚過敏症の頻度と種類を評価するオンライン調査を実施した。
調査では、身体症状(Patient Health Questionnaire-15)、身体変化、疼痛/不快感/ストレスの引き金、疼痛増強因子を評価した。年齢、性別、Patient Health Questionnaire-9(うつ病を測定)、Generalized Anxiety Disorder-7、痛みの持続時間(年単位)、1日の痛みの時間数、痛みに関連した内科的診断の数を共変量とし、共分散分析を行った。
共変量をコントロールした後、CRPSおよび/またはFMの回答者は、無痛群と比較して、身体症状、運動や生体反応の変化、疼痛/不快感/苦痛の引き金、疼痛の増強を報告した。
FMは、視覚・聴覚、排尿・腸管機能、飲酒・摂食の変化に特異的に関連していた。
CRPSは毛髪、皮膚、爪の変化に関連し、感染症と治癒に関連していた。
CRPS+線維筋痛症群では、両疾患の特徴を呈していたが、それ以上の追加的なストレス因子や症状は最小限であった。我々の知見は、CRPSとFMは、特定のメカニズムは異なるかもしれないが、根本的な病態生理学を共有していることを示唆しているとの報告である。

(Bodily changes and sensory sensitivity in complex regional pain syndrome and fibromyalgia Ten Brink, Antonia F.a,b,*; Peters, Louisaa,b; Kompouli, Paraskevi-Ioannaa,b; Jordan, Abbiea,b; McCabe, Candida S.c,d,e; Goebel, Andreasf,g; Bultitude, Janet H.a,bAuthor Information
PAIN: June 2020 - Volume 161 - Issue 6 - p 1361-1370
doi: 10.1097/j.pain.0000000000001830)








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