paeoniflorinのミクログリア活性抑制効果について

2020年5月19日火曜日

芍薬甘草湯は筋腓返りや筋性痛に効果があることが知られ広く使われている。
古くから沢山の研究が行われているが、
芍薬の主成分paeoniflorinの効果は炎症を抑えるほか、催眠効果などが報告されている(下記参照)
甘草の主成分グリチルリチン酸 はグリチルリチン酸は、生理的副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをコルチゾンへ変換する酵素を阻害するため、抗炎症作用が出ることが想定されるが同時に腎臓系を介して低カリウムを引き起こすので注意が必要なことは広く知られている。なお、グリチルリチン酸は強ミノなどでも使われている。
今回、芍薬の髄腔内投与でミクログリア活性が低下するという報告があったので参照する。
Paeoniflorin Attenuates Inflammatory Pain by Inhibiting Microglial Activation and Akt-NF-κB Signaling in the Central Nervous System
パエオニフローリン(PF)は抗炎症作用やパレゴリック作用を有することが知られているが、その鎮痛効果の根底にあるメカニズムは明らかにされていない。本研究の目的は、PFのフロイント完全アジュバント(CFA)誘発性炎症性疼痛に対する効果を明らかにし、その分子メカニズムを探ることである。
方法:マウスにCFAを皮下注射して炎症性疼痛モデルを構築した。
PFを毎日8日間連続で髄腔内注射した後、脊髄組織における熱的・機械的脚引っ込め反射の閾値、炎症因子TNF-α、IL-1β、IL-6のレベル、ミクログリア活性、Akt-NF-κBシグナル伝達経路の発現、細胞培養、酵素結合免疫吸着アッセイ、免疫蛍光組織化学、ウエスタンブロットにより検出した。
結果
PFはCFA誘発性疼痛モデルにおいて脊髄ミクログリアの活性化を抑制した。PF処理後の中枢神経系では、in vivoおよびin vitroともに炎症性サイトカインの産生が減少した。さらにPFは、in vivoおよびin vitroにおいて、Akt-NF-κBシグナル伝達経路の活性化を抑制する顕著な効果を示した。
結論。以上の結果から、PFは炎症性疼痛の治療薬としての可能性を示唆しているが、さらなる研究が必要である。



Cell Physiol Biochem 2018;47:842–850
https://doi.org/10.1159/000490076 、https://www.karger.com/Article/FullText/490076
芍薬の薬理学的研究 (第 1 報): ペオニフロリンの中枢作用および甘草成分 FM100 との併用効果:高木敬次郎, 原田正敏 - YAKUGAKU ZASSHI, 1969 - jstage.jst.go.jp
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1947/89/7/89_7_879/_pdf


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