変形性膝関節症などでは加齢に伴い軟骨の菲薄化・消失とともに痛みが増悪して、生活障害をきたす。これらの治療としてOARSIは昨年ガイドラインを作っており、合併症がない患者ではNSAID貼付剤がレベル1Aの高コンセンサス、NSAIDおよびCOX2阻害剤がレベル1Bの高コンセンサスになっています。
しかし、東京医科大学の澤地先生のグループはPGE2が椎間板組織からのコラゲナーゼ(MMP‐1 およびMMP-13 )と アグリカナーゼ(ADAMTS‐4)の発現を減少させ、
COX2阻害剤はIL1を経由してADAMTS‐4を減少させたがMMP‐1 およびMMP-13は減少させなかったことを報告している。
MMPとADAMTS-5のIL-1誘導はCOX-2阻害剤の影響を受けなかったため、COX-2阻害剤は椎間板変性を防止することは出来ないことがわかった。 逆に、外因性PGE2によるすべてのMMPとADAMTSsの発現の抑制は、PGE2が椎間板細胞でのプロテイナーゼの発現を抑制することにより組織の変性を防ぐ役割を持っていることを示唆しされる。
また、COX2阻害剤投与で神経成長因子(NGF)がむしろ上昇することも報告されており(ステロイドでは上昇は引き起こされない)事もわかっている。
Spine: August 01, 2013 - Volume 38 - Issue 17 - p 1466-1472
doi: 10.1097/BRS.0b013e318294edb1
総じて、COX2阻害剤を含むNSAIDはPGE2の抑制を介して痛みを抑制するが、一方で同じくPGE2を介して椎間板軟骨障害を引き起こし、NGFの発現も上昇させる。
今後、メリットデメリットをよく理解した上で使用していく必要がある。